第6回:地震にも備える ― 防災管理者の資格・責務と講習の時間

消防法
地震にも備える 防災管理者の資格と責務 消防昇任試験対策

前回の防火管理は「火事」への備えでした。今回の防災管理は、地震など火事以外の災害への備えです。

しくみは防火管理とそっくりですが、数字がいくつも出てきます。「何年以上」「年何回」「何時間」。

ここが取りちがえやすいところなので、条文の数字をそのまま確認していきます。

0

防災管理って、なに?

防火管理が「火事」担当なら、防災管理は「地震など」担当です。

大きな地震が起きたとき、大規模な建物の中で何千人もの人が一度に逃げようとしたら、それだけで大変なことになります。そこで、あらかじめ計画を立てて訓練しておく——というのが防災管理です。

役割分担は防火管理とまったく同じ。管理権原者が防災管理者を定め、防災管理者が消防計画をつくる。防火管理と並べて覚えるのが近道です。

防火管理は消火器を持ち火事に備える、防災管理はヘルメットを持ち地震などに備える、という左右の対比
火事担当が防火管理、地震など担当が防災管理
1

防災管理者になれるのは誰?(施行令第47条)

📜 消防法施行令第47条第1項(抜粋)

「…政令で定める資格を有する者は、次の各号のいずれかに掲げる者で、…防災管理上必要な業務を適切に遂行することができる管理的又は監督的な地位にあるものとする。
一 …防災管理に関する講習の課程を修了したもの
二 …一年以上防災管理の実務経験を有するもの
三 市町村の消防職員で、管理的又は監督的な職に一年以上あつた者
四 前三号に掲げる者に準ずる者で、…防災管理者として必要な学識経験を有すると認められるもの」

まず大前提として、「管理的または監督的な地位にある人」(=現場をまとめる立場の人。部長・店長・課長など)でなければなりません。役職のない社員では防災管理者になれない、ということです。

そのうえで、①甲種防火管理講習を修了し、防災管理の講習も修了した人、②1年以上の防災管理の実務経験がある人、③市町村の消防職員で、管理的・監督的な職に1年以上あった人、などが資格を持ちます。

ここが数字のひっかけどころ。消防職員は「1年以上」です。「2年以上」はまちがいです。

ものさしの1年の位置に市町村の消防職員が立ちマル、2年の位置にはバツ
市町村の消防職員は「1年以上」
2

「必要な学識経験を有する者」(施行規則第51条の5)

四号の「必要な学識経験を有すると認められる者」は、規則にリストがあります。

📜 消防法施行規則第51条の5(抜粋)

「…次の各号のいずれかに該当する者とする。
一 労働安全衛生法…に規定する安全管理者として選任された者
三 鉱山保安法…の規定により保安管理者として選任された者
四 国若しくは都道府県の消防の事務に従事する職員で、一年以上管理的又は監督的な職にあつた者
五 警察官又はこれに準ずる警察職員で、三年以上管理的又は監督的な職にあつた者
六 建築主事…又は一級建築士の資格を有する者で、一年以上の防火管理の実務経験及び一年以上の防災管理の実務経験を有するもの
七 市町村の消防団員で、三年以上管理的又は監督的な職にあつた者」

数字を並べると、こうなります。

誰必要な経験
国・都道府県の消防事務職員1年以上の管理的・監督的な職
警察官3年以上の管理的・監督的な職
市町村の消防団員3年以上の管理的・監督的な職
一級建築士防火管理の実務1年以上+防災管理の実務1年以上
1年以上のグループに市町村の消防職員、3年以上のグループに警察官と消防団員が並ぶ
年数で仲間分けすると覚えやすい

一級建築士だけ形がちがいます。2つの実務経験が両方必要。「1年以上の防火管理の実務経験を有する者」だけで終わっている選択肢はまちがいです。

防火と防災は別のものだから、両方の経験がいる、と考えると納得しやすいと思います。

一級建築士が防火管理の実務1年と防災管理の実務1年の2枚のカードを鍵として防災管理者の扉を開ける。片方だけではバツ
2枚そろって、はじめて扉が開く
ここ注意

「市町村の消防職員で管理的・監督的な職に2年以上あった者」「一級建築士で1年以上の防火管理の実務経験を有する者(のみ)」は、いずれもまちがいです。

3

防災管理者の仕事(施行令第48条)

📜 消防法施行令第48条

「1 防災管理者は、…当該防災管理対象物についての防災管理に係る消防計画を作成し、所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。
2 防災管理者は、前項の消防計画に基づいて、当該防災管理対象物について避難の訓練の実施その他防災管理上必要な業務を行わなければならない。
3 防災管理者は、防災管理上必要な業務を行うときは、必要に応じて当該防災管理対象物の管理について権原を有する者の指示を求め、誠実にその職務を遂行しなければならない。」

つまり、①消防計画をつくって届け出る、②計画に基づいて避難訓練をする、③迷ったら管理権原者の指示を求める。

3項が大事です。防災管理者は建物のオーナーではないので、大きな判断を勝手にはできません。「指示を一切受けない」はまちがいです。

なお規則では、消防計画は管理権原者の指示を受けて作成し届け出る、とされています(施行規則第51条の8第1項)。つくるのは防災管理者ですが、ひとりで勝手につくるものではない、ということです。

防災管理者が防災管理に係る消防計画を見せながら管理権原者に相談している場面。ひとりで決めない
計画をつくるのは防災管理者。でも、ひとりで決めない
📜 消防法施行規則第51条の8第3項

「防災管理者は、令第四十八条第二項の避難訓練を年一回以上実施しなければならない。」

つまり年1回以上。「年2回以上」はまちがいです。

12か月のカレンダーのうち1か月だけに避難訓練の旗が立ち、年1回以上の帯がついている
法律が求める最低ラインは「年1回以上」

そして訓練をするときは、あらかじめ消防機関に知らせる必要があります(施行規則第51条の8第4項が準用する第3条第11項)。

「実施後に通報」ではなく「事前に通報」です。本番の火事とまちがわれないため、そして消防に見てもらうためです。

訓練の前に消防署へ電話する場面にマル、訓練が終わってから電話する場面にバツ
知らせるのは、訓練の前
4

講習の時間(施行規則第51条の7)

最後は数字だけの話です。ここは覚えるしかありません。

📜 消防法施行規則第51条の7(抜粋)

「2 防災管理新規講習は、…その講習時間はおおむね四時間三十分とする。
3 …甲種防火管理新規講習及び防災管理新規講習を併せて実施する場合における講習時間は、…おおむね十二時間とする。
4 防災管理再講習は、…その講習時間はおおむね二時間とする。
5 …甲種防火管理再講習及び防災管理再講習を併せて実施する場合における講習時間は、…おおむね三時間とする。」

表にすると、こうなります。

防災管理だけ甲種防火管理と一緒
新規講習おおむね4.5時間おおむね12時間
再講習おおむね2時間おおむね3時間
黒板の時間割表。新規は防災管理だけ4.5時間・甲種防火管理と一緒12時間、再は2時間・3時間
4つのマスで覚える

覚え方は「新規は4.5、再は2。一緒にやるなら12と3」。

ここ注意

甲種防火管理新規講習と防災管理新規講習を併せて行う場合を「14時間」「20時間」とするのはまちがい。正しくはおおむね12時間です。

★ ここだけ覚えればOK ★ 防災管理は数字で覚える!
①
1年と3年

消防職員は1年以上、警察官・消防団員は3年以上。一級建築士は防火1年+防災1年

②
訓練は年1回以上

年2回ではない。実施のときはあらかじめ消防機関に通報する

③
講習は4つの数字

新規4.5・再2・併催の新規12・併催の再3

📒 この記事のまとめ

防災管理は、しくみは防火管理と同じ。ちがうのは数字です。

  • 防災管理者は管理的又は監督的な地位にある者であることが大前提
  • 市町村の消防職員は管理的・監督的な職に1年以上(2年以上ではない)
  • 国・都道府県の消防事務職員は1年以上、警察官・市町村の消防団員は3年以上
  • 一級建築士は防火管理の実務1年以上+防災管理の実務1年以上の両方が必要
  • 防災管理者は消防計画を作成・届出し、避難訓練を年1回以上実施。実施時はあらかじめ消防機関へ通報
  • 講習は新規4.5時間・再2時間、甲種防火管理と併せると新規12時間・再3時間

数字が多い範囲ですが、「1年と3年」「年1回」「4.5・12・2・3」の3セットに分けると整理できます。

📝 CHECK

確認問題(全5問)

問 1

防災管理者に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 防災管理上必要な業務を適切に遂行できる管理的又は監督的な地位にある者であること。
  2. 甲種防火管理講習を修了した者で、防災管理に関する講習を修了した者であること。
  3. 市町村の消防職員で、管理的又は監督的な職に2年以上あった者であること。
  4. 防災管理に関する学科を修めて卒業し、その後1年以上防災管理の実務経験を有する者であること。
  5. その他、防災管理者として必要な学識経験を有する者であること。
💡 ヒント

ものさしの上で、消防職員が立っていたのはどの目盛りでしたか。

✅ 正解と解説を見る

正解:C

市町村の消防職員は、管理的又は監督的な職に1年以上あった者です(施行令第47条第1項第三号)。「2年以上」とするのは誤りです。

問 2

「防災管理者として必要な学識経験を有すると認められる者」についての記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 労働安全衛生法に規定する安全管理者として選任された者。
  2. 市町村の消防団員で、3年以上管理的又は監督的な職にあった者。
  3. 警察官で、3年以上管理的又は監督的な職にあった者。
  4. 鉱山保安法に規定する保安管理者として選任された者。
  5. 一級建築士の資格を有する者で、1年以上の防火管理の実務経験を有するもの。
💡 ヒント

扉の鍵穴は2つありました。カードが1枚だけの人はどうなっていましたか。

✅ 正解と解説を見る

正解:E

一級建築士は、1年以上の防火管理の実務経験に加え、1年以上の防災管理の実務経験も必要です(施行規則第51条の5第六号)。片方だけでは足りません。

問 3

防災管理者の責務についての記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 避難訓練は年2回以上実施し、実施後に消防機関へ通報しなければならない。
  2. 防災管理上必要な業務を行うときは、必要に応じて管理権原者の指示を求め、誠実に職務を遂行する。
  3. 防災管理に係る消防計画を作成し、届け出なければならない。
  4. 消防計画に基づいて避難の訓練その他防災管理上必要な業務を行わなければならない。
  5. 防災管理者を選任又は解任した場合には、届け出なければならない。
💡 ヒント

カレンダーに旗が立っていたのは何か月分でしたか。そして電話をかけるのは訓練の前でしたか、あとでしたか。

✅ 正解と解説を見る

正解:A

避難訓練は年1回以上です(施行規則第51条の8第3項)。また通報は実施後ではなく、実施する場合にあらかじめ行います(同条第4項が準用する第3条第11項)。回数と時期の2か所が誤りです。

問 4

防災管理に係る消防計画に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 防災管理に係る消防計画の作成・届出は、管理権原者が行う。
  2. 防災管理に係る消防計画の届出は不要である。
  3. 防災管理に係る避難訓練の回数は法令上定められていない。
  4. 防災管理に係る消防計画の作成・届出は、防災管理者が行う。
  5. 防災管理者は管理権原者の指示を一切受けない。
💡 ヒント

計画書を手に持って相談していたのは、どちらの人でしたか。

✅ 正解と解説を見る

正解:D

防災管理に係る消防計画の作成・届出は防災管理者の責務です(施行令第48条第1項)。作成にあたっては管理権原者の指示を受け、必要に応じてその指示を求めます。

問 5

防災管理に関する講習についての記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 防災管理新規講習は、おおむね4.5時間である。
  2. 甲種防火管理新規講習と防災管理新規講習を併せて行う場合は、おおむね14時間である。
  3. 防災管理再講習は、おおむね2時間である。
  4. 防災管理に関する講習は、新規講習と再講習である。
  5. 甲種防火管理再講習と防災管理再講習を併せて行う場合は、おおむね3時間である。
💡 ヒント

黒板の右上のマスに書かれていた数字を思い出してください。

✅ 正解と解説を見る

正解:B

甲種防火管理新規講習と防災管理新規講習を併せて実施する場合は、おおむね12時間です(施行規則第51条の7第3項)。

コメント

タイトルとURLをコピーしました