ここからは、国の仕組み(統治機構)に入ります。その中心になるのが国会です。
国会は論点が多く、試験でも繰り返し問われます。今回はそのうち、国会の地位・二院制・衆議院の優越の3つを整理します。
ポイントは、「最高機関」という言葉の正しい意味と、衆議院の優越がどこまで及ぶか。ここを押さえるのが近道です。
国会の地位(第41条)
憲法第41条は、国会を「国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関」と定めています。
ここで最大の注意点。「最高機関」は、他の機関に命令できるという意味ではありません。
これは、国会が直接国民に選ばれた代表で構成される、いちばん国民に近い機関だという意味の、いわば「政治的な美称(びしょう)」です。三権分立のもとでは、国会が裁判所や内閣に法的に優越するわけではありません。
「国会は最高機関だから、司法・行政に優越する」「最高機関だから閣議決定も変更できる」という選択肢は誤りです。最高機関=優越、ではありません。
📌 立法は国会、公布は天皇
法律をつくる(制定する)のは国会ですが、できあがった法律を公布するのは天皇の国事行為です(内閣の助言と承認により行う/第7条1号)。「法律の公布は国会が行う」は誤りです。
なお、国会の主な権限には、予算の議決・条約の承認・内閣総理大臣の指名・憲法改正の発議・弾劾裁判所の設置などがあります。(「唯一の立法機関」といっても、内閣の政令などの例外はあります。)
二院制(衆議院・参議院)
日本の国会は、衆議院と参議院の2つからなる二院制です。
2つの議院がお互いをチェックし合うことで、慎重な審議や社会のさまざまな層の意思の反映ができる、という長所があります。
一方で、両院の意思をそろえる必要があるため、立法の手続きが複雑になり、決定が滞りやすいという短所もあります。「二院制は一院制より行き詰まりが生じにくい」という選択肢は誤りです。
| 項目 | 衆議院 | 参議院 |
|---|---|---|
| 任期 | 4年(解散あり) | 6年(3年ごとに半数改選) |
| 被選挙権 | 満25歳以上 | 満30歳以上 |
| 定数(現在) | 465人 | 248人 |
| 選挙 | 小選挙区・比例代表 | 選挙区・比例代表 |
| 解散 | ある | ない |
衆議院の優越
両院の議決が食い違ったとき、一定の事項では衆議院の議決が優先されます。これを「衆議院の優越」といいます。
衆議院の優越が認められるのは、主に次の4つです。
- 法律案の議決
- 予算の議決
- 条約の承認
- 内閣総理大臣の指名
📌 予算先議権と議決のルール
予算は、必ず先に衆議院に提出されます(予算先議権/第60条)。「予算は先に参議院に提出する」は誤りです。
予算・条約・首相の指名で両院の議決が異なり、両院協議会でも一致しないとき、または参議院が一定期間内に議決しないとき(予算・条約は30日、首相指名は10日)は、衆議院の議決がそのまま国会の議決になります。
法律案については、参議院が衆議院の可決後60日以内に議決しないときは否決とみなすことができ、衆議院が出席議員の3分の2以上で再可決すれば成立します(第59条)。
憲法改正の発議には、衆議院の優越はありません。憲法改正の発議は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成が必要で、両院は対等です(第96条)。「憲法改正の発議にも衆議院の優越がある」は誤りです。
優越しない。立法は国会・公布は天皇
予算は衆議院に先議
優越なし(各議院総議員の3分の2以上)
📒 この記事のまとめ
今回は国会の入口として、地位・二院制・衆議院の優越を見てきました。
- 「最高機関」は優越を意味しない政治的美称(立法は国会・公布は天皇)
- 衆議院の優越=法律案・予算・条約の承認・内閣総理大臣の指名
- 予算は衆議院に先議/憲法改正の発議だけは両院対等
次回は国会の続きとして、国政調査権・国会議員の特権・参議院の緊急集会を整理します。
確認問題(全5問)
問 1
国会の地位に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である
- 「最高機関」とは、国会が直接国民を代表する機関であることを示す表現である
- 国会は最高機関であるため、司法および行政に法的に優越する
- 法律を制定するのは国会である
💡 ヒント
「最高機関」は優越を意味する言葉だったかどうかを思い出してください。
✅ 正解と解説を見る
正解:C
「最高機関」は政治的な美称であり、国会が司法・行政に法的に優越することを意味しません(三権分立)。したがってCが誤りです。A・B・Dはいずれも正しい記述です。
問 2
法律の公布に関する記述として、正しいものはどれか。
- 成立した法律の公布は、国会が行う
- 成立した法律の公布は、天皇が内閣の助言と承認により行う
- 法律の公布は、内閣総理大臣が単独で行う
- 法律の公布は、最高裁判所が行う
💡 ヒント
法律を「つくる」のと「公布する」のは、別の機関でした。
✅ 正解と解説を見る
正解:B
法律を制定するのは国会ですが、成立した法律の公布は天皇の国事行為であり、内閣の助言と承認により行われます(第7条1号)。公布を国会・内閣総理大臣・最高裁判所が行うわけではありません。
問 3
次のうち、衆議院の優越が認められていないものはどれか。
- 予算の議決
- 条約の承認
- 内閣総理大臣の指名
- 憲法改正の発議
💡 ヒント
「両院が対等」とされていた事項を思い出してください。
✅ 正解と解説を見る
正解:D
憲法改正の発議は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成が必要で、両院は対等です(第96条)。衆議院の優越は及びません。予算の議決・条約の承認・内閣総理大臣の指名には衆議院の優越が認められています。
問 4
二院制および予算に関する記述として、正しいものはどれか。
- 予算は、先に参議院に提出される
- 予算は、先に衆議院に提出される(予算先議権)
- 二院制は、一院制に比べて立法上の行き詰まりが生じにくい
- 参議院には、任期途中の解散がある
💡 ヒント
予算を「先に」審議するのはどちらの院だったかを思い出してください。
✅ 正解と解説を見る
正解:B
予算は先に衆議院に提出されます(予算先議権・第60条)。二院制は両院の意思統一が必要で立法が滞りやすく(Cは誤り)、解散があるのは衆議院です(A・Dは誤り)。
問 5
衆議院と参議院に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 参議院議員には、任期途中の解散がある
- 衆議院議員の任期は4年で、解散がある
- 参議院議員の任期は6年で、3年ごとに半数を改選する
- 被選挙権は、衆議院が満25歳以上、参議院が満30歳以上である
💡 ヒント
「解散」があるのは、衆参どちらの院だったかを思い出してください。
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正解:A
解散があるのは衆議院であり、参議院に解散はありません。したがってAが誤りです。B・C・Dはいずれも正しい記述です。


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