第8回 国民の3大義務 ― 教育・勤労・納税をやさしく整理

憲法
国民の3大義務ってなに? 教育・勤労・納税

憲法というと「権利が守られるもの」というイメージが強いかもしれません。

ですが、憲法は権利だけでなく、国民の義務も定めています。といっても、その数はとても少なく、たった3つだけ。これを「国民の3大義務」といいます。

教育・勤労・納税の3つです。数が少ないぶん、それぞれの「ひっかけ」をどれだけ正確に押さえられるかが勝負になります。

そもそも

「国民の義務」って?

日本国憲法は、国民の権利をたくさん保障しています。その一方で、国民が果たすべき義務として定めているのは、次の3つだけです。

  • 教育を受けさせる義務(第26条2項)
  • 勤労の義務(第27条1項)
  • 納税の義務(第30条)

「義務」と聞くと厳しい印象を受けるかもしれませんが、これらは社会全体を支えるための、いわばみんなで分担するルールです。まずは「義務は3つだけ」と覚えてしまいましょう。

国民の3大義務:①教育を受けさせる義務(第26条2項)②勤労の義務(第27条1項)③納税の義務(第30条)
国民の3大義務 ― 教育・勤労・納税
1

教育を受けさせる義務(第26条2項)

1つ目は、教育を受けさせる義務です。

ここが最大のひっかけポイント。義務を負うのは子ども本人ではなく、保護者(親など)です。

よくある誤り:受ける義務(✕)ではなく受けさせる義務(○)。主語は保護者、子どもにとっては受ける権利
「受ける」ではなく「受けさせる」義務。主語は保護者
⚠ よくある誤り

「普通教育を受ける義務」は誤りです。正しくは「普通教育を受けさせる義務」。主語は保護者です。子どもにとって教育は「義務」ではなく「受ける権利」(社会権のひとつ)。「子どもに教育を受けさせなさい」という義務を負うのが大人、という関係を押さえましょう。

📌 義務教育は無償

あわせて、義務教育は無償とされています(第26条3項)。ここでいう「無償」は、授業料を取らないという意味です。

2

勤労の義務(第27条1項)

2つ目は、勤労の義務です。

注意したいのは、第27条1項が定める勤労は、義務であると同時に「権利」でもあるという点です。「働く権利」と「働く義務」の両方の性質を持っています。

勤労の義務(第27条1項):働く権利でもあり義務でもある。強制労働ではない、働かないことを罰するものではない
勤労は「権利」でもあり「義務」でもある
⚠ ひっかけ注意

勤労の義務は、強制労働を意味するものではありません。また、働かない人を直接罰するようなものでもありません。あくまで「働いて社会を支えましょう」という、精神的・道徳的な意味合いの義務です。「働かないと処罰される」という選択肢は誤りです。

📌 あわせて覚える

勤労については、労働条件の基準は法律で定めること(第27条2項)、児童を酷使してはならないこと(第27条3項)もあわせて定められています。

3

納税の義務(第30条)

3つ目は、納税の義務です。税金を納めることは、国や地方の活動を支える土台になります。

ここでのキーワードは租税法律主義(そぜいほうりつしゅぎ)。第30条は「法律の定めるところにより、納税の義務を負う」と定めています。

つまり、税金は国の都合で勝手に決められるものではなく、必ず法律にもとづいて課される、ということです。国民が知らないうちに勝手に税を取られない、という歯止めの意味があります。

納税の義務(第30条):租税法律主義。税は法律の定めるところにより
租税法律主義 ― 税は「法律の定めるところにより」
★ ここだけ覚えればOK ★ 3大義務は3カードで!
教育=「受けさせる」義務

主語は保護者。子どもは「受ける権利」

勤労=権利でもあり義務でもある

強制労働ではない/働かないことを罰しない

納税=租税法律主義

税は「法律の定めるところにより」

📒 この記事のまとめ

国民の義務は、教育・勤労・納税の3つだけ。数が少ないからこそ、ひとつひとつの「ひっかけ」が試験で狙われます。

  • 教育=「受けさせる」義務(主語は保護者/子どもは受ける権利)
  • 勤労=権利でもあり義務でもある(強制労働ではない)
  • 納税=租税法律主義(法律の定めるところにより)

なお、「憲法を尊重し擁護する義務」(第99条)は、天皇や国務大臣、公務員などが負う義務であって、国民の3大義務には含まれません。ここもあわせて押さえておくと安心です。

📝 CHECK

確認問題(全5問)

問 1

国民の3大義務に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 教育を受けさせる義務を負うのは、保護者である
  2. 国民は、普通教育を「受ける義務」を負う
  3. 納税の義務は、法律の定めるところによる
  4. 勤労は、権利であると同時に義務でもある
💡 ヒント

教育に関する義務は「受ける」だったか「受けさせる」だったかを思い出してください。

✅ 正解と解説を見る

正解:B

正しくは「普通教育を受けさせる義務」であり、主語は保護者です。「受ける義務」とするBが誤りです。子どもにとって教育は「受ける権利」です。A・C・Dはいずれも正しい記述です。

問 2

次のうち、国民の3大義務に含まれないものはどれか。

  1. 教育を受けさせる義務
  2. 勤労の義務
  3. 納税の義務
  4. 憲法を尊重し擁護する義務
💡 ヒント

3大義務は「教育・勤労・納税」でした。それ以外は含まれません。

✅ 正解と解説を見る

正解:D

憲法を尊重し擁護する義務(第99条)は、天皇・国務大臣・国会議員・裁判官その他の公務員が負う義務であり、国民の3大義務には含まれません。3大義務は教育・勤労・納税の3つです。

問 3

勤労の義務に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 勤労の義務は、働かない者を処罰することを認めるものである
  2. 勤労の義務は、国家による強制労働を認めるものである
  3. 勤労は、権利であると同時に義務でもある
  4. 勤労は義務であって、権利としての性質はまったくない
💡 ヒント

第27条1項の勤労が持つ「2つの性質」を思い出してください。

✅ 正解と解説を見る

正解:C

勤労は、権利であると同時に義務でもあります。強制労働を認めるものでも(B)、働かない者を直接処罰するものでもありません(A)。また権利としての性質も持つため、Dも誤りです。

問 4

納税の義務に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 税は、行政の判断により、法律の根拠なく課すことができる
  2. 納税の義務は、法律の定めるところにより負う(租税法律主義)
  3. 納税の義務は、憲法には定められていない
  4. 税の内容は、毎年の国民投票によって決定される
💡 ヒント

第30条の「法律の定めるところにより」という言葉がカギです。

✅ 正解と解説を見る

正解:B

納税の義務は「法律の定めるところにより」負うものであり、これを租税法律主義といいます。法律の根拠なく課すことはできず(A)、納税の義務は第30条に定められています(C)。国民投票で決めるものでもありません(D)。

問 5

教育を受けさせる義務に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 義務を負うのは保護者であり、子どもにとって教育は「受ける権利」である
  2. 義務を負うのは子ども本人であり、普通教育を受ける義務を負う
  3. 義務教育であっても、授業料は有償である
  4. 教育に関する義務は、国民の3大義務には含まれない
💡 ヒント

「主語は誰か」と「義務教育の無償」を思い出してください。

✅ 正解と解説を見る

正解:A

教育を受けさせる義務を負うのは保護者であり、子どもにとって教育は「受ける権利」です。義務を負うのは子ども本人ではなく(B)、義務教育の授業料は無償です(C)。教育を受けさせる義務は3大義務に含まれます(D)。

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