「基本的人権」という言葉は、学校でも一度は習ったことがあると思います。
ただ、いざ試験となると「自由権・社会権・参政権…どれが何だったか」と、分類でつまずきやすいところです。
基本的人権の出題ポイントは、実はかなり整理されています。「5つの分類」と、その中の「自由権の3つの中身」。この2つを押さえるのが近道です。
基本的人権って何?
基本的人権とは、ひとことでいうと「人が生まれながらに持っている権利」のことです。
国や誰かから与えてもらうものではなく、人として生まれた時点で当然に持っている、という考え方です。
憲法はこれを第11条で、「侵すことのできない永久の権利」として保障しています。「永久の」とあるとおり、時の政府や多数派の都合で勝手に奪うことはできない、というのが大きなポイントです。
基本的人権は「5つ」に分かれる
基本的人権は、内容によって次の5つに分類されます。まずは全体像をつかんでおきましょう。
| 分類 | どんな権利か | 具体例 |
|---|---|---|
| 平等権 | すべての人が平等に扱われる権利 | 法の下の平等、両性の本質的平等 |
| 自由権 | 国家に縛られない権利(3種類) | 精神・身体・経済の自由 |
| 社会権 | 人間らしい生活を国家に求める権利 | 生存権、教育を受ける権利、労働三権 |
| 参政権 | 政治に参加する権利 | 選挙権、被選挙権、国民審査 |
| 受益権 | 国家に何かをしてもらう権利 | 裁判を受ける権利、請願権、国家賠償請求権 |
ザックリした覚え方は、「平等・自由・社会・参政・受益」の5つ。このうち自由権だけは、さらに3つに分かれると覚えておくと、あとがラクになります。
平等権
平等権は、「すべての人が平等に扱われる権利」です。
生まれや性別、身分などによって不当に差別されない、という考え方で、憲法第14条の「法の下の平等」が代表例です。
もうひとつ、第24条の「両性の本質的平等」もよく出ます。これは結婚や家庭の中で、男女が対等であるべきだという考え方です。
自由権 ― 3つに分かれる
自由権は、「国家権力に縛られない権利」です。国に余計な口出しをされず、自由に生きられる、という権利だと考えてください。
この自由権が、さらに精神・身体・経済の3つに分かれます。ここが試験の最頻出ポイントです。
- 思想・良心の自由
- 信教の自由
- 表現の自由
- 学問の自由
- 集会・結社の自由
- 奴隷的拘束を受けない
- 法定手続の保障
- 令状主義
- 黙秘権
- 弁護人を依頼する権利
- 居住・移転の自由
- 職業選択の自由
- 財産権の保障
◎ 覚え方
精神=頭の中の自由、身体=体の自由、経済=お金・物の自由。この3つの軸で考えると、どの権利がどこに入るか整理しやすくなります。
社会権
社会権は、「人間らしい生活を国家に求める権利」です。
自由権が「国に邪魔をされない権利」だったのに対し、社会権は「国に何とかしてほしいと求める権利」という、いわば反対向きの権利です。
代表例は、第25条の生存権(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)、教育を受ける権利、そして労働三権(団結権・団体交渉権・団体行動権)です。
参政権
参政権は、「政治に参加する権利」です。
国の主人公である国民が、政治に関わるための権利で、選挙権・被選挙権が代表例です。
ほかにも、最高裁判所裁判官の国民審査や、憲法改正の国民投票などが含まれます。
受益権
受益権は、「国家に何かをしてもらう権利」です。国務請求権(こくむせいきゅうけん)とも呼ばれます。
代表例は、裁判を受ける権利、請願権(国などに要望を伝える権利)、国家賠償請求権(国の違法な行為で損害を受けたとき賠償を求める権利)です。
「裁判を受ける権利」は受益権です。社会権ではありません。試験では「社会権に含まれないものはどれか?」という形で頻出します。選択肢に裁判を受ける権利が混じっていたら、それが正解(=社会権ではない)になりやすいパターンです。
平等・自由・社会・参政・受益
精神(頭の中)・身体(体)・経済(お金/物)
社会権と間違えないこと
📒 この記事のまとめ
基本的人権は、人が生まれながらに持つ「侵すことのできない永久の権利」。まずは5つの分類を押さえ、その中で自由権だけが精神・身体・経済の3つに分かれることを覚えるのが、整理の土台になります。
- 5分類=平等権・自由権・社会権・参政権・受益権
- 自由権の3区分=精神(頭の中)・身体(体)・経済(お金・物)
- 裁判を受ける権利は「受益権」(社会権ではない)
そして最後のワナ、「裁判を受ける権利=受益権」。ここを押さえておけば、頻出のひっかけにも落ち着いて対応できます。
確認問題(全5問)
問 1
基本的人権の分類の組合せとして、正しいものはどれか。
- 平等権・自由権・社会権・参政権・受益権
- 自由権・社会権・平和権・参政権・受益権
- 平等権・自由権・社会権・幸福権・受益権
- 平等権・自由権・労働権・参政権・請願権
💡 ヒント
「平等・自由・社会・参政・受益」という5つのゴロを思い出してください。一覧表の左の列が手がかりです。
✅ 正解と解説を見る
正解:A
基本的人権は「平等権・自由権・社会権・参政権・受益権」の5つに分類されます。「平和権」「幸福権」「労働権」はこの分類名としては存在せず、請願権は受益権に含まれる個別の権利であって分類名ではありません。
問 2
次のうち、社会権に含まれないものはどれか。
- 生存権
- 教育を受ける権利
- 労働基本権(労働三権)
- 裁判を受ける権利
💡 ヒント
「裁判を受ける権利」がどの分類に入るかが、本記事最大のひっかけポイントでした。
✅ 正解と解説を見る
正解:D
裁判を受ける権利は受益権(国務請求権)であり、社会権ではありません。生存権・教育を受ける権利・労働基本権はいずれも社会権に含まれます。「社会権に含まれないものは?」は頻出の出題形式です。
問 3
「職業選択の自由」が属する自由権の種類として、正しいものはどれか。
- 精神の自由
- 身体の自由
- 経済の自由
- 参政の自由
💡 ヒント
「お金・物」に関わる自由はどれだったかを思い出してください。
✅ 正解と解説を見る
正解:C
職業選択の自由は、居住・移転の自由や財産権の保障とともに経済の自由に分類されます。「経済=お金・物の自由」の軸で覚えておくと判断しやすくなります。なお「参政の自由」という分類は存在しません。
問 4
次のうち、「身体の自由」に含まれないものはどれか。
- 法定手続の保障
- 令状主義
- 黙秘権
- 信教の自由
💡 ヒント
「頭の中の自由」と「体の自由」のどちらに入るかで分けて考えてください。
✅ 正解と解説を見る
正解:D
信教の自由は「精神の自由(頭の中の自由)」に分類されます。法定手続の保障・令状主義・黙秘権は、いずれも身体の自由に含まれる権利です。
問 5
基本的人権の憲法上の位置づけに関する記述として、正しいものはどれか。
- 国家が国民に恩恵として与えた権利である
- 法律によって初めて認められる権利である
- 「侵すことのできない永久の権利」として保障されている
- 多数決によって、いつでも制限・廃止できる権利である
💡 ヒント
憲法第11条が基本的人権をどのような言葉で表していたかを思い出してください。
✅ 正解と解説を見る
正解:C
基本的人権は、人が生まれながらに持つ権利であり、憲法第11条で「侵すことのできない永久の権利」として保障されています。国家が恩恵で与えたものでも、法律で初めて認められるものでもなく、多数決で自由に奪えるものでもありません。


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