第2回は、「危ないからやめて・直して」と命令できる措置命令と、「今日は火事が起きやすいよ」とお知らせする火災警報を解説します。
まぎらわしいのは「その命令、どの条文の担当?」という点。ここさえ整理できれば、この範囲はこわくありません。
今回も、条文を一度そのまま読んでから、かみ砕いていきます。
3つの条文の役割分担
措置命令は、担当が条文ごとに分かれています。係の人が3人いるとイメージしてください。
- 第3条さん=屋外(外)の担当。外の火や危ない物件をやめさせる
- 第4条さん=調べる・書類を出させる担当(前回学んだ立入検査・資料提出)
- 第5条さん=建物(防火対象物)の担当。直せ・使うな、と命令する
覚え方はこの1行。「書類・図書は第4条、外の危険物かたづけは第3条、建物への命令は第5条」
屋外の措置命令(第3条)
「消防長、消防署長その他の消防吏員は、屋外において火災の予防に危険であると認める行為者又は…物件の所有者、管理者若しくは占有者で権原を有する者に対して、次に掲げる必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
一 火遊び、喫煙、たき火…の禁止、停止若しくは制限又はこれらの行為を行う場合の消火準備
二 残火、取灰又は火粉の始末
三 危険物又は放置され、若しくはみだりに存置された燃焼のおそれのある物件の除去その他の処理
四 放置され、又はみだりに存置された物件の整理又は除去」
つまり第3条は「外」担当。命令できるのは4パターンです。
- ① 火遊び・たばこ・たき火などの禁止・停止・制限や消火の準備
- ② 残火(燃えのこりの火)・取灰(かまどなどから出た灰)・火粉(飛びちる火の粉)の始末
- ③ 危険物や燃えやすい物件のかたづけ(除去その他の処理)
- ④ 放置された物件の整理・撤去
まちがえやすいポイント:「屋外観覧場(外にある観客席)に人を入れすぎないよう制限する」のは、第3条ではなく第5条の担当です。人数の制限は「建物などの使い方」の話だからです。
「屋外観覧場の入場制限は第3条」はまちがい。正しくは第5条です。
建物への措置命令(第5条・第5条の2・第5条の3)
「消防長又は消防署長は、防火対象物の位置、構造、設備又は管理の状況について、火災の予防に危険であると認める場合…には、権原を有する関係者に対し、当該防火対象物の改修、移転、除去、工事の停止又は中止その他の必要な措置をなすべきことを命ずることができる。」
つまり第5条のなかま(第5条・第5条の2・第5条の3)は「建物(防火対象物)」担当。改修(直せ)・移転(移せ)・除去(取りこわせ)・使用停止・使用制限(使ってはいけない・制限する)・工事停止などを命令できます。
避難のじゃまになる物件のかたづけ、劇場などの入場制限、火気設備(コンロなど火を使う設備)の使用禁止も、第5条のなかまの担当です。
まちがえやすいポイントが2つあります。「関係図書(書類)の提出」は第4条の担当。「外に放置された危険物のかたづけ」は第3条の担当。どちらも、第5条の仕事として出てきたらまちがいです。
「書類・図書は第4条、外の危険物かたづけは第3条、残りの建物への命令が第5条」
火災警報と火の使用の制限(第22条)
「市町村長は、前項の通報を受けたとき又は気象の状況が火災の予防上危険であると認めるときは、火災に関する警報を発することができる。」
「警報が発せられたときは、警報が解除されるまでの間、その市町村の区域内に在る者は、市町村条例で定める火の使用の制限に従わなければならない。」
つまり、「今日は空気が乾いて風も強く、火事が起きやすい」というとき、市町村長が火災警報を出せます。
流れはバトンリレーです。気象台が「危ない天気です」と都道府県知事に通報し、知事が市町村長に通報し、市町村長が警報を発令する。「消防長」「都道府県知事」「気象台長」が発令する、はすべてまちがい(気象台や知事は「通報」する側です)。
警報が出ている間は、火の使い方に制限がかかります。中身は5つです。
- ① 山や野原での火入れ禁止
- ② 煙火(打ち上げ花火など)の使用禁止
- ③ 屋外での火遊び・たき火の禁止
- ④ 屋外の引火性・爆発性物品(燃えやすい・爆発しやすいもの)のそばでのたばこ禁止
- ⑤ 残火・取灰・火粉の始末
まちがえやすいポイント:「屋内でのたばこ禁止」はまちがい。キーワードは屋外です。
発令できるのは市町村長で固定。たばこの制限は「屋外」の可燃物付近。「屋内」と書かれていたらまちがいです。
消防法 第2回の3ポイント
→ たき火の禁止、灰の始末、外の危険物のかたづけ。ただし入場制限は第5条
→ 関係図書の提出は第4条。改修・移転・除去・使用停止など建物への命令が第5条系
→ 気象台・知事は通報する側。警報中のたばこ制限は「屋外」の可燃物付近
まとめ
この範囲の合言葉は、「書類・図書は第4条、外の危険物かたづけは第3条、建物への命令は第5条」でした。
- 第3条=屋外の火・物件(たき火禁止、灰の始末、危険物のかたづけ等)
- 第5条系=建物への命令(改修・移転・除去・使用停止等)。入場制限もここ
- 関係図書の提出は第4条。第5条の仕事ではない
- 火災警報の発令は市町村長。たばこ制限は「屋外」
3人の係員の顔を思い浮かべられれば、条文の取りちがえには、もうひっかかりません。
確認問題(全5問)
問 1
消防法第3条による屋外の火災予防措置命令についての記述のうち、誤っているものはどれか。
- 火遊び・喫煙・たき火等の禁止・停止・制限又は消火準備を命ずることができる。
- 残火、取灰又は火粉の始末を命ずることができる。
- 危険物又は燃焼のおそれある物件の除去その他の処理を命ずることができる。
- 放置され、又はみだりに存置された物件の整理又は除去を命ずることができる。
- 屋外観覧場の入場制限を命ずることができる。
💡 ヒント
入場制限は「建物などの使い方」の話でした。担当はどの係だったでしょうか。
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正解:E
屋外観覧場・劇場等の入場制限(定員規制)は消防法第5条により行うものであり、第3条の対象ではありません。
問 2
消防法第5条による防火対象物に対する火災予防措置命令として、適当でないものはどれか。
- 防火対象物の関係図書提出命令
- 防火対象物の改修命令
- 防火対象物の除去命令
- 防火対象物の工事の停止命令
- 防火対象物の移転命令
💡 ヒント
仕分けコンベアを思い出してください。書類の束は、どのカゴに落ちたでしょうか。
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正解:A
関係図書(資料)の提出は、消防法第4条の資料提出命令によって行うのが正しく、第5条の措置命令の対象ではありません。
問 3
消防法第5条、第5条の2、第5条の3の命令の対象となるものを列挙したもののうち、これに該当しないものはどれか。
- 防火対象物の使用禁止
- 避難障害物件の除去
- 屋外に放置された危険物の除去
- 劇場における入場制限
- 火気設備器具の使用禁止
💡 ヒント
「外」に置かれたドラム缶のかたづけは、どの係の担当だったでしょうか。
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正解:C
屋外に放置された危険物の除去の根拠は消防法第3条であり、第5条系によるものではありません。
問 4
消防法第22条に定める火災に関する警報の発令権者として正しいものはどれか。
- 地方気象台長
- 市町村長
- 都道府県知事
- 消防長
- 警察本部長
💡 ヒント
バトンリレーの最後に旗を掲げたのは誰だったでしょうか。気象台と知事は「通報」する側です。
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正解:B
市町村長は、都道府県知事から通報を受けたとき、又は気象の状況が火災の予防上危険であると認めるときに、火災に関する警報を発することができます(消防法第22条第3項)。
問 5
消防法第22条の火災警報発令中の「火の使用の制限」の内容について、誤っているものはどれか。
- 山林、原野等において火入れをしないこと。
- 煙火を使用しないこと。
- 屋外において火遊び又はたき火をしないこと。
- 屋内においては、引火性又は爆発性の物品その他の可燃物の付近で喫煙をしないこと。
- 残火、取灰又は火粉を始末すること。
💡 ヒント
たばこの制限のキーワードは「屋内」「屋外」のどちらだったでしょうか。
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正解:D
火災警報発令中に禁止されるのは、屋外において引火性・爆発性物品その他の可燃物の付近で喫煙をすることです。「屋内」とする点が誤りです。


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