第4回:行政行為って何?許可・特許・認可の違いと公定力をやさしく解説

行政法
行政行為って何?許可・特許・認可の違いと公定力 ― 消防昇任試験対策

営業の許可、運転免許、違反建築物の除去命令——役所が出す「決定」のほとんどが、この章で学ぶ行政行為(処分)です。

第3章は行政法の心臓部で、問題集でも出題量が最大級。とくに「許可・特許・認可の区別」と「公定力」は頻出テーマです。

範囲が広いので、前半(この記事)で「行政行為とは何か・種類・効力」を、後半(次の記事)で「附款・瑕疵・取消しと撤回」を扱います。

行政行為=行政法の心臓部。営業の許可・運転免許・除去命令はすべて行政行為。まずは許可・特許・認可の違い、公定力、取消し・無効・撤回を押さえる
ここを理解すると、他の条文や制度もつながって覚えやすくなる
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そもそも行政行為って何?

行政行為とは、「行政庁が法律に基づき、一方的に国民の権利や義務を変動させる行為」です。法律の世界では「処分」とも呼ばれます。

ポイントは「一方的に」というところ。契約のようにお互いの合意で決まるのではなく、役所の側から一方的に効果が発生します。

行政行為=行政庁が法律に基づき、一方的に国民の権利義務を変動させる行為(=処分)。一方的(合意は不要)。対比:契約=お互いの合意
契約(合意)との違いは「一方的」であること

ただし、効力が生じるタイミングには大事なルールがあります。行政行為は、相手方に到達して初めて効力を生じます(到達主義)。文書なら、相手が内容を知りうる状態になった時です。

到達主義。①役所が文書を発信した時点ではまだ効力なし ②文書が相手の家に到達したときに効力発生。『発信された時点で効力』は誤り
効力が生じるのは「発信時」ではなく「到達時」
試験での注意

「文書が発信された時点で効力が生じる」は誤り。発信ではなく到達です。「相手方の同意がなければ効力を生じない」も誤り(同意は不要、到達は必要)。

2

行政行為の分類 ― 2系統に分かれる

行政行為は、「意思表示を中身とするかどうか」で2系統に分かれます。

行政行為の分類ツリー。法律行為的行政行為(意思表示が中身)=命令的行為(下命・禁止・許可・免除)と形成的行為(特許・認可・代理)。準法律行為的行政行為(判断・認識の表示)=確認・公証・通知・受理。この4つはセットで暗記
「確認・公証・通知・受理」の4つはセットで暗記

法律行為的行政行為=行政庁の意思表示が中身のもの。さらに2つに分かれます。

  • 命令的行為:国民に義務を課したり解いたりする。下命(〜せよ)・禁止(〜するな)・許可(禁止を解除)・免除(義務を解除)
  • 形成的行為:権利や地位を設定・補充する。特許認可代理

準法律行為的行政行為=意思ではなく、判断や認識の表示にとどまるもの。確認・公証・通知・受理の4つです。

試験での注意

「確認は法律行為的行政行為である」は誤り。確認・公証・通知・受理=準法律行為的、と4つセットで覚えましょう。

3

許可・特許・認可・確認の区別 ― 問題集頻出の最重要論点

4つの類型は、「何をしてあげる行為か」で区別します。

許可=「もともと自由だったことの禁止を、解除してあげる」行為。

許可とは?①運転は本来だれでもできる ②危険なので一律に禁止 ③免許で禁止を解除。だから運転免許は許可。営業許可・火薬類製造の許可も同じ
許可=禁止を解除して、本来の自由を回復させる

運転は本来誰でもできる行為ですが、危険なので一律に禁止し、免許でその禁止を解除します。だから運転免許は許可。営業許可・火薬類製造の許可も同じです。

特許=「もともと持っていない権利を、新しく与える」行為。

特許のたとえ。公有水面はもともと誰も埋め立てる権利を持っていない。行政が審査のうえ、新しく埋め立てる権利を与える。名前が『免許』でも実質は特許
名前が「免許」でも実質は特許(公有水面埋立の免許)

公有水面(海など)を埋め立てる権利は、本来誰も持っていません。それを新たに与えるのが公有水面埋立の免許——名前は「免許」でも、実質は特許です。鉱業許可・公務員の任命もこちら。

認可=「私人どうしの契約などを補充して、効力を完成させる」行為。

認可とは?①当事者だけで決める(公共料金の改定・公共組合の設立)②役所の認可 ③効力が完成して有効。認可を受けないで行った行為は原則無効。当事者だけでは効力は完成しない
当事者の合意+役所の認可で、初めて効力が完成する

公共料金の改定や公共組合の設立は、当事者が決めただけではまだ効力ゼロ。役所の認可が下りて初めて有効になります。認可を受けないでした行為は原則無効です。

なぜこんな二段構えにするのかというと、公共料金のように多くの人の生活に影響する決定を、会社や当事者の判断だけで完成させないためです。行政が間に入って内容をチェックし、妥当なら効力を完成させる——利用者と公共の利益を守るしくみです。

許可との違いも押さえておきましょう。許可は「やっていいか」の話で、無許可の行為は罰せられても行為自体は有効なことが多い。認可は「効力が完成するか」の話で、認可がなければそもそも無効。ここが決定的な違いです。

確認=「事実や法律関係があるかないかを、公の権威で確定する」行為(準法律行為的)。

確認とは。確認=事実や法律関係を公の権威で確定する行為。例:当選人の決定、恩給額の裁定。※戸籍・住民票などの証明書や免状の交付は『公証』であり、確認ではない
確認の例=当選人の決定・恩給額の裁定。証明書の交付は「公証」

選挙の当選人の決定、恩給額の裁定などです。なお、各種証明書・免状の交付は確認ではなく公証です。

認可と確認の対比。認可=私人間の行為を補充して効力を完成させる(認可がないと原則無効)。確認=事実や法律関係を公の権威で確定する(当選人の決定)。証明書・免状の交付は公証
認可=効力の完成/確認=事実の確定、と役割で区別
試験での注意

「公有水面埋立の免許は許可」→誤(特許)。「違反建築物の除去命令は禁止」→誤(「取り壊せ」という作為を命じる下命)。「証明書の交付は確認」→誤(公証)。名前ではなく実質で判断するのがコツです。

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行政行為の4つの効力

行政行為には、普通の行為にはない4つの特別な力があります。

行政行為の4つの効力。①公定力=違法でも取り消されるまでは一応有効 ②不可争力=出訴期間が過ぎると国民側から争えない(処分庁の職権取消しは可能)③自力執行力=法律の根拠があれば行政が強制できる ④不可変更力=争いを裁く行為は行政庁自身も変更できない
公定力・不可争力・自力執行力・不可変更力の4つ

1. 公定力:たとえ違法でも、権限ある機関に取り消されるまでは一応適法と扱われ、相手方も第三者も拘束される力。ただし重大かつ明白な瑕疵があれば無効で、公定力は生じません。

ここが問題集で繰り返し問われるポイントです。国家賠償請求は、先に処分を取り消してもらわなくてもできます。「先に取消しを得ないと損害賠償を請求できない」は誤りです。

公定力と国家賠償。取消訴訟のドアを先に通る必要はなく、直接国家賠償請求に進める。国家賠償請求は、処分が取り消されていなくてもできる。『先に取消しが必要』は誤り
国賠請求に「先に取消し」は不要

また、公定力を明文で定めた規定は存在しません。取消訴訟のしくみから導かれるものです。

2. 不可争力:出訴期間が過ぎると、国民の側からは争えなくなる力。ただし処分庁が職権で取り消すことは可能です。

3. 自力執行力:法律の根拠があれば、裁判所を通さずに行政みずから義務を強制できる力。

4. 不可変更力:審査請求の裁決のような「争いを裁く行為」は、行政庁自身も変更できなくなる力。

試験での注意

「国賠には先に取消しが必要」「期間経過後は処分庁も取り消せない」「公定力の明文規定がある」——すべて誤りです。

★ ここだけ覚えればOK ★ 行政行為(前編)は3カードで!
ここだけ覚えればOK。①到達主義=届いたときに効力発生 ②許可=禁止解除/特許=新権利/認可=効力完成/確認=事実の確定 ③公定力があっても国賠は先取消し不要
到達主義

効力は相手に届いたとき。「発信時」「同意が必要」は誤り

許可・特許・認可・確認

禁止解除/新権利/効力完成/事実の確定。名前でなく実質で判断

公定力と国賠

国賠は先取消し不要。不可争力は国民を縛るが処分庁の職権取消しは可能

📒 この記事のまとめ

行政行為は「役所の一方的な決定」で、到達したときに効力が生じます。

  • 分類は法律行為的(命令的・形成的)と準法律行為的(確認・公証・通知・受理)の2系統
  • 許可=禁止解除/特許=新権利/認可=効力完成/確認=事実の確定
  • 4つの効力は公定力が中心。国賠は先取消し不要

次回は後半戦、「附款・瑕疵・取消しと撤回」です。

📝 CHECK

確認問題(全5問)

問 1

行政行為の効力発生に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 行政行為は、相手方に到達して初めて相手方を拘束する力を生じる。
  2. 文書による行政行為は、文書が発信された時点で効力が生じる。
  3. 行政行為は、法の定める手続・形式によって行われなければならない。
  4. 行政行為は、一定の権限を有する者によって行われる。
💡 ヒント

「発信」と「到達」、効力が生じるのはどちらの時点だったでしょうか。

✅ 正解と解説を見る

正解:B

行政行為は相手方への到達によって効力を生じます(到達主義)。発信時ではありません。

問 2

次のうち、準法律行為的行政行為に分類されるものはどれか。

  1. 許可
  2. 特許
  3. 認可
  4. 確認
💡 ヒント

「確認・公証・通知・受理」の4つセットを思い出してください。

✅ 正解と解説を見る

正解:D

確認は判断の表示であり、準法律行為的行政行為です。許可(命令的)、特許・認可(形成的)はいずれも意思表示を要素とする法律行為的行政行為です。

問 3

行政行為のうち、学問上、特許の性質を有するものはどれか。

  1. 公有水面埋立の免許
  2. 火薬類製造の許可
  3. 自動車運転の免許
  4. 公共組合設立の認可
💡 ヒント

「もともと誰も持っていない権利を新しく与える」のはどれか、名前ではなく実質で考えてください。

✅ 正解と解説を見る

正解:A

特許は本来もたない権利・地位を設定する行為で、公有水面埋立の免許が該当します(名前は免許でも実質は特許)。B・Cは禁止解除の許可、Dは効力を完成させる認可です。

問 4

行政行為とその種類の組み合わせとして、誤っているものはどれか。

  1. 課税の賦課処分 ── 下命
  2. 自動車運転の免許 ── 許可
  3. 違反建築物の除去命令 ── 禁止
  4. 各種証明書の交付 ── 公証
💡 ヒント

除去命令は「するな」と命じているのか、「せよ」と命じているのか考えてください。

✅ 正解と解説を見る

正解:C

除去命令は「取り壊せ」という作為を命じるので下命です。不作為を命じる禁止ではありません。

問 5

行政行為の公定力に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 公定力とは、違法でも取り消されない限り一応適法と推定され、相手方・第三者を拘束する力をいう。
  2. 重大かつ明白な瑕疵がある行政行為は無効であり、公定力を生じない。
  3. 違法な行政行為で損害を受けた場合、あらかじめ取り消されていなくても国家賠償請求ができる。
  4. 公定力を承認する旨を明示した明文規定が、現行法に置かれている。
💡 ヒント

公定力は条文に書いてあるものだったか、それとも制度から導かれるものだったか。

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正解:D

公定力を明示的に承認する明文規定は現行法に存在せず、取消訴訟制度から導かれます。A〜Cは正しい記述です。

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